No.5新着 1980年代 ジャンプが400万部へ、青年誌が増え、アニメ化が広がる
週刊少年ジャンプが200万部から400万部に倍増し、ヤングマガジンやスピリッツなど青年向けの雑誌が相次いで創刊された時代をまとめる。コミックスの普及についての数字は、確かめられなかったので書かない。
本文と出典
あらまし
1980年代の漫画は、少年誌の大型化と、青年向け雑誌の増加で語れる。
『週刊少年ジャンプ』は、1978年から1986年の間に200万部から400万部に倍増したと報じられている。同じ時期に、少年誌を卒業した読者を狙った「ヤング誌」が、集英社、講談社、小学館から出そろった。
連載作品がテレビアニメになる流れも広がった。
主なできごと
・1980年6月 講談社が『週刊ヤングマガジン』を創刊する
・1980年10月 小学館が『ビッグコミックスピリッツ』を創刊する
・1980年12月 集英社の『ヤングジャンプ』が週刊化する
・1982年 講談社が『モーニング』を創刊する(月は資料によって8月と9月の表記がある)
・1983年 原哲夫と武論尊の『北斗の拳』が『週刊少年ジャンプ』で始まる
・1984年11月 鳥山明の『DRAGON BALL』が『週刊少年ジャンプ』で連載を始める
・1985年5月 集英社が『ビジネスジャンプ』を創刊する
・1978年〜1986年 西村繁男がジャンプの編集長を務め、この間に部数が200万部から400万部になったと報じられる
ヤング誌の相次ぐ創刊
青年向けの雑誌では、1979年5月の『ヤングジャンプ』に続き、1980年6月に講談社の『週刊ヤングマガジン』、10月に小学館の『ビッグコミックスピリッツ』が創刊された。
文化庁の連載記事によれば、創刊から10年を過ぎた『漫画アクション』は、読者の高年齢化に悩んでいた。少年誌と青年誌の中間を狙うヤング誌の登場で、若い読者を他誌に奪われたという。
集英社は1982年に女性向けの『Lady's Comic YOU』なども創刊し、1985年にはビジネスマン向けの『ビジネスジャンプ』を出している。読者の年代と性別ごとに雑誌が細かく分かれていく動きである。
1988年10月には『スーパージャンプ』も創刊された。年表を追うと、青年向けの誌名が1980年代を通して集英社だけでも次々と増えたことが分かる。少年誌の部数が伸びた時期に、少年誌を卒業した読者の受け皿が並行して整えられたとも読める。ただし、各誌の部数は本稿で確かめていない。
同じ連載の取材に応じた編集者は、当時は雑誌本体の売り上げが出版社の経営を支えていたと振り返り、作家に無理をさせない余裕があったと述べる。
現在は単行本の売り上げが雑誌の赤字を補う構造に変わっている、とも述べている。この発言は、雑誌の位置づけが時代で逆転することを示す点で、1990年代以降の記事につながる。
ジャンプの大型化とアニメ化
ジャンプの部数について、文春オンラインは、第3代編集長の西村繁男が1978年から1986年の在任中に200万部から400万部に倍増させたと書く。この数字は報道の記述であり、日本雑誌協会の年別データではない。
1984年11月から連載が始まった『DRAGON BALL』は、1995年5月まで続いた。連載期間の記述は、アニメ関連の報道サイトによる。
1983年に始まった『北斗の拳』は、1984年から1987年にかけてテレビアニメが放送されたと、コトバンクは記す。
連載作品がアニメになり、その人気が雑誌に返る流れは、1960年代の『鉄腕アトム』が先例である。1980年代には、その循環が少年誌の主力作品で当たり前になっていったと考えられる。
なぜ受けたのか
資料が確かめられる範囲では、受けた理由を次のように整理できる。
第一に、ジャンプが創刊以来の新人育成とアンケート重視の方針を続けたこと。第二に、出版各社が読者の年代ごとに雑誌を出し分けたこと。第三に、テレビアニメが漫画の知名度を押し上げたこと。
ただし、各作品が売れた直接の理由は、本稿で開いた資料からは確かめられていない。
理由を断定できない以上、ここでは出来事の並びを示すにとどめ、因果の説明は読者の判断に委ねる。
評価の分かれる点
この時代を「ジャンプ黄金期」と呼ぶ見方は広いが、何を黄金期の基準にするかは意見が分かれる。部数の多さ、作品の質、社会への影響のどれで測るかで、始まりと終わりが変わる。
本稿は部数が確かめられる範囲を中心に書いた。
くらさんの考察
1980年代の特徴は、少年漫画の人気が広がったことと同時に、読者が成長しても漫画を読み続ける場所が整ったことだと考えられる。
少年誌で育った読者が青年誌に移り、さらに女性向けやビジネス向けの雑誌も出た。後の電子配信の時代に、年齢を問わず漫画を読む習慣が当たり前になる下地が、この十年に敷かれたと見ることができる。
なお、単行本の普及を数字で示す一次資料は、今回確かめられなかったので、書いていない。
ジージへの問いかけ
・1980年代、通勤の電車の中で読まれていた漫画雑誌は何でしたか。
・ジャンプが急に分厚くなったと感じた時期はありますか。
・アニメで先に知って、あとから漫画を買った作品はありますか。
出典
・マンガ雑誌の黄金時代 第9回 双葉社「漫画アクション」(文化庁 メディア芸術カレントコンテンツ) https://mediag.bunka.go.jp/article/article-16155/
・少年ジャンプの歴史(文春オンライン) https://bunshun.jp/articles/-/56441
・『ドラゴンボール』連載40周年の記事(アニメ!アニメ!) https://animeanime.jp/article/2024/11/20/87767.html
・週刊少年ジャンプが貫く、ふたつの主義(集英社 公式記事) https://www.shueisha.co.jp/pickup/17144/
この記事を読んで浮かんだ疑問は、運営者ジージが漫画QAでくらさんに質問し、答えをそこに載せていきます。