No.7新着 2000年以降 電子書籍とウェブ漫画、配信で広がる市場
紙の雑誌が縮む一方、電子コミックが市場の7割を超えた2000年以降をたどる。集英社の配信アプリや、2024年の7,043億円までの市場の動きを、出版科学研究所の数字で確かめた。海外市場の規模は、確かな公的数字を確かめられなかったので書かない。
本文と出典
あらまし
2000年以降の漫画は、紙の雑誌から電子の配信へ重心が移った。
出版科学研究所の統計では、コミック市場は2020年に初めて6,000億円を超え、2024年には7,043億円で過去最高になった。そのうち電子コミックが5,122億円と、7割余りを占める。
紙の雑誌が縮んだのに市場が伸びたのは、売り場が電子に移ったからである。
主なできごと
・2002年11月 集英社が北米版の『SHONEN JUMP』を創刊する
・2004年 『SLAM DUNK』のコミックスが累計1億部を超える
・2010年3月 『ONE PIECE』57巻が初版300万部になる
・2013年1月 集英社が電子書店アプリ「ジャンプBOOKストア!」の配信を始める
・2014年 出版科学研究所が電子コミックの統計を取り始める。9月に「少年ジャンプ+」の配信が始まる
・2019年1月 集英社が漫画配信アプリ「MANGA Plus by SHUEISHA」の配信を始める
・2020年 コミック市場が初めて6,000億円を超える
・2024年5月 集英社が「ジャンプTOON」の配信を始める
・2024年 コミック市場が7,043億円で過去最高になる
集英社の電子化の歩み
集英社の公式年表には、2013年の「ジャンプBOOKストア!」、2014年の「少年ジャンプ+」、2019年の「MANGA Plus by SHUEISHA」と、電子と配信の取り組みが順に並ぶ。
電子化の前に、2002年11月には北米版の『SHONEN JUMP』が創刊されている。日本の雑誌を海外で売る試みが、この時期にすでにあった。
2024年5月には「ジャンプTOON」の配信が始まった。年表は名称と開始月のみを記しており、作品の形式の説明はない。
市場の数字
出版科学研究所の推定販売額を、nippon.comなどの解説から拾うと次のようになる。
2021年は6,759億円で、電子コミックが4,114億円、紙の単行本が2,087億円、コミック誌が558億円である。2022年は6,770億円、2023年は6,937億円、2024年は7,043億円で、7年連続のプラス成長だった。
2024年の内訳は、電子コミックが5,122億円(前年比6.0%増)、紙のコミックスが1,472億円(8.6%減)、コミック誌が449億円(9.7%減)である。電子コミックは、統計を取り始めた2014年の約6倍になった。
一方、出版市場全体は伸びていない。国立国会図書館のカレントアウェアネス・ポータルによると、2025年の紙と電子を合わせた出版市場は1兆5,462億円で、4年連続のマイナスである。電子コミックの伸び率が鈍っているとも報じられている。
2025年のコミック市場の金額は、本稿で確かめた資料には出ていなかったので、書かない。
ジャンプの変化
集英社の公式年表は、2022年8月に『ONE PIECE』の全世界累計発行部数が5億1000万部を突破したと記す。
同じ年の9月には、創刊からの累計75億部で「最も売れた漫画雑誌」としてギネス世界記録に認定された。
一方、雑誌そのものの部数は、2017年に200万部を割り、2026年4月から6月期に100万部以下になった。累計の記録と、今の部数が別の話であることを示す。
なぜこう変わったのか
資料から確かめられるのは、売り場の移動である。
紙のコミックス販売額は2022年から減り、2023年と2024年は新型コロナ前の2019年の水準も下回った。一方、電子コミックは2019年比で約2倍になった。
読者が紙から電子へ動いた理由は、本稿では確かめていない。スマートフォンの普及や、無料で読める範囲の設計など、複数の要因が考えられるが、それぞれの効果を示す一次資料は未確認である。
評価の分かれる点
縦にスクロールして読むウェブ漫画の広がりが、日本の漫画にとって脅威なのか、新しい読者との接点なのかは、議論が分かれる。
毎日新聞系の「週刊エコノミスト」の動画では、ウェブ漫画サービスを展開する韓国企業の担当者が、自社が大きく成長できると語る場面から、日本の漫画の将来を問うている。動画の説明文には、そうした問題意識が示されている。
本稿はどちらかに決めず、論点として挙げるにとどめる。
くらさんの考察
2000年以降の変化は、「何を読むか」より「どこで、どう手に取るか」の変化だったと考えられる。
紙の雑誌は、毎週決まった日に決まった場所へ読者を連れてきた。電子配信は、読者が好きな時間に好きな作品へ直接たどり着く。出版社がアプリを作ってきたのは、その接点を自社で持つためだと読める。
今後、2025年に見えたような電子コミックの伸びの鈍化が続くのかどうかは、確かめられるデータがまだ少ない。
ジージへの問いかけ
・スマートフォンやタブレットで漫画を読んだことはありますか。紙とどこが違いましたか。
・毎週の雑誌を待つ楽しみと、好きなときにすぐ読める便利さは、どちらが大きいと思いますか。
・縦に流れる漫画は、漫画と呼べると思いますか。
出典
・コミック販売額(出版科学研究所) https://shuppankagaku.com/statistics/comic/
日本のコミック市場2024年の販売額は過去最高の7043億円(nippon.com) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02328/
日本のコミック市場2022年の販売額は過去最高の6770億円(nippon.com) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01625/
・「週刊少年ジャンプ」100万部割れ 漫画流通の主役は電子書籍に(nippon.com) https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02864/
・2025年の出版市場規模(国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル) https://current.ndl.go.jp/car/270088
・2023年のコミック市場規模(国立国会図書館 カレントアウェアネス・ポータル) https://current.ndl.go.jp/car/211791
動画
・韓流「縦読み漫画」に押され、日本の漫画は「ガラパゴス化」してしまうのか(週刊エコノミスト ボイス)https://www.youtube.com/watch?v=sHREUxrI_TE
関連動画
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