No.102新着 長谷川町子 『サザエさん』で家庭漫画を描いた女性漫画家
長谷川町子(1920〜1992年)は、15歳で田河水泡に弟子入りし、戦後に福岡で『サザエさん』の連載を始めた漫画家である。日本で最初の女性プロ漫画家と紹介されることが多く、没後に国民栄誉賞を受けた。
本文と出典
あらまし
長谷川町子は1920年1月30日に生まれ、1992年5月27日に72歳で亡くなった漫画家である。代表作は新聞連載の四コマ漫画『サザエさん』で、そのほかに『エプロンおばさん』『いじわるばあさん』などがある。板橋区立美術館の展覧会紹介は、町子を日本で最初の女性プロ漫画家だったと紹介する。小学館のデジタル大辞泉は、『サザエさん』で家庭漫画の一典型を確立したと書く。
主なできごと
・1920年 1月30日に生まれる(コトバンクの20世紀日本人名事典)
・1934年 父を亡くしたあと、福岡から母と姉妹とともに上京する
・1935年 田河水泡に弟子入りし、15歳で漫画家としてデビューする(板橋区立美術館の紹介)。入門を1934年とする事典の記述もある
・1946年 疎開先の福岡で、『夕刊フクニチ』に『サザエさん』の連載を始める
・1949年 『朝日新聞』に連載の場を移す。移った時期を1951年とする事典もある
・1962年 『サザエさん』で文藝春秋漫画賞を受ける
・1966年 『サンデー毎日』で『いじわるばあさん』の連載が始まる
・1969年 『サザエさん』のテレビアニメの放送が始まる
・1974年 『朝日新聞』の連載が終わる(板橋区立美術館の紹介)
・1982年 紫綬褒章を受ける
・1985年 自宅の近くに美術館を開く
・1992年 5月27日に死去。没後に国民栄誉賞が贈られる
くわしく 修業から連載まで
町子は、女学校時代に父を亡くしている。板橋区立美術館の紹介によると、翌年に福岡から母と三人姉妹で上京し、漫画家の田河水泡に入門した。弟子入りの翌年に、少女雑誌に作品が載るようになる。世界大百科事典(改訂新版)は『少女倶楽部』への寄稿と、『仲良し手帖』の連載を1940年から約三年半続けたことを記す。
『サザエさん』の発想の出どころについて、日本大百科全書は、太平洋戦争中に福岡の新聞社で働いていたころの着想とする。連載は1946年、福岡の『夕刊フクニチ』で始まった。終戦の翌年である。
くわしく 朝日新聞への移籍と長い連載
連載の舞台は、福岡のあと『朝日新聞』に移った。移籍の時期は事典で食い違い、世界大百科事典と日本大百科全書は1949年12月、ブリタニカ国際大百科事典は1951年4月とする。連載の終わりは、板橋区立美術館の紹介では1974年である。20世紀日本人名事典には、25年間、6,477回で終わったという趣旨の記述があるが、終了年が他の資料と合わないので、この記事では回数を採らなかった。
テレビアニメは1969年に始まり、世界大百科事典は、アニメ化によっても広く親しまれたと述べる。
なぜ今も語られるのか
事典は『サザエさん』の特徴を、日常の家庭生活を題材にした点に見ている。精選版日本国語大辞典は家庭漫画の一典型を確立したとし、世界大百科事典は、戦争で荒れた社会におだやかな笑いを届けたと説明する。ブリタニカ国際大百科事典は、日常の細部から笑いを生む点を、アメリカの新聞漫画と比べている。
町子の没後、1992年に国民栄誉賞が贈られた。内閣府によれば、この賞は広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があった人をたたえる、内閣総理大臣の表彰である。
評価の分かれる点
栄典の書き方に、資料間の食い違いがある。コトバンクの20世紀日本人名事典の項には、1982年に文化功労者となったという趣旨の記述がある。ところが、日本芸術院が2024年に公表した萩尾望都の推薦資料は、2019年の萩尾の選出を、女性漫画家として初の文化功労者としている。この食い違いは確かめきれていないので、本文では紫綬褒章のみを書いた。
生まれた場所も、事典に佐賀県の生まれと、福岡市の出身とがあり、記述が分かれる。
くらさんの考察
町子の位置づけで注意したいのは、「女性初」という肩書きが何を指すかである。日本で最初の女性プロ漫画家という紹介は、美術館の展覧会案内の表現であり、ほかの女性の漫画家との先後関係を調べた結果ではない。したがって、この記事では「と紹介されている」という書き方にとどめた。作品の側からは、新聞の連載を二十数年続けたこと、アニメ化でさらに広く知られたことが、国民的と呼ばれる理由として挙げられるのではないかと考えられる。
ジージへの問いかけ
・ジージは『サザエさん』を、新聞の連載とテレビのどちらで先に知りましたか。
・四コマ漫画の新聞連載で、今も思い出す場面はありますか。
・町子のように、戦後すぐに仕事を始めた漫画家で、ほかに心に残る人はいますか。
出典
・板橋区立美術館「サザエさん生誕70年記念 よりぬき長谷川町子展」 https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000016/4000037/4000040.html
・板橋区立美術館「よりぬき長谷川町子展」 https://www.city.itabashi.tokyo.jp/artmuseum/4000614/4000831/4000905.html
・コトバンク「長谷川町子」(20世紀日本人名事典、世界大百科事典、日本大百科全書、ブリタニカ国際大百科事典ほか) https://kotobank.jp/word/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E7%94%BA%E5%AD%90-114525
・国立国会図書館「Web NDL Authorities」長谷川町子 https://id.ndl.go.jp/auth/ndlna/00007982
・内閣府「国民栄誉賞について」 https://www.cao.go.jp/others/jinji/kokumineiyosho/index.html
・日本芸術院「令和5年度日本芸術院会員候補者の決定について」(2024年2月22日の報道発表) https://www.geijutuin.go.jp/items/j24w17u9vtyh8dadlncmaipkv9hwlpkxlurr7xbb.pdf
動画
・【new!!seum】長谷川町子美術館 長谷川町子記念館(文化庁 bunkachannel)https://www.youtube.com/watch?v=ycrXWFQl7IA
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