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No.132新着 フランス・ベルギーのバンド・デシネ 子どもの読み物から「第9の芸術」へ

バンド・デシネ(BD)はフランスとベルギーを中心にしたフランス語圏のコミックである。1833年の起源から、子ども向けの雑誌、ベルギーの時期、大人向けの広がり、1974年のアングレームの祭典までを、フランス国立図書館、フランス文化省、日本の事典で確かめた範囲で整理する。

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登録日時
2026年11月1日 06:19
出典を確かめた日
2026年11月1日
分野
世界のマンガ
立場
事実・データ
タグ
海外とのつながり新着歴史・時代新着数字・統計新着
作品・人物
バンド・デシネ、タンタン、Rodolphe Töpffer、Hergé、アングレーム国際漫画祭、Astérix
資料の種類
公的機関の解説
年代
1830年代、1950年代、1970年代

本文と出典

あらまし

バンド・デシネ(BD)は、フランスやベルギーを中心にしたフランス語圏のコミックを指す。
日本では、判型が大きく色の付いた本として紹介されることが多い。
その歴史は、子どもの読み物と見られた時期と、大人の表現として評価された時期の往復でできている。
この記事は、フランス国立図書館(BnF)の児童文学センターが公開するJean-Pierre Mercierの記事、フランス文化省の記事、日本の事典『artscape』を土台にする。
Mercierは、アングレームのBD専門施設(Cité internationale de la bande dessinée et de l'image)で科学顧問を務める人物である。
Mercierの記事の発行年は確認できていない(誌面に2014年の展覧会への言及がある)。

主なできごと

・1833年 スイスのRodolphe Töpfferが『Histoire de M. Jabot』を出す。Mercierはこれを近代的なBDの最初の例とする
・1839年 パリの出版社Aubertが、Chamの『Histoire de M. Lajaunisse』を出す。Mercierによれば、フランスで出た最初のBDである
・1929年 Hergéの『タンタン』が、ベルギーの新聞付録『Le Petit Vingtième』に登場する(タンタン公式サイトによる)
・1949年7月 青少年向け出版物の統制を定める法律が、フランスの議会で全会一致で可決される
・1957年 FranquinがGaston Lagaffeを創作する
・1961年 Astérixが登場し、大人も読めるBDの最初と受け止められた
・1974年1月25日 アングレームで最初のBDの祭典が開かれる(文化省による)
・1990年代半ば 日本のマンガがフランスで広がり始める

子どもの読み物になった経緯

Mercierによれば、Töpfferは子ども向けとして描いておらず、最初の読者はみな大人だった。
19世紀末にかけて、BDは大人向けの新聞や風刺紙から、子ども向けの雑誌へ移った。
その際にカラー印刷を持ち込み、紙面の形も変えた。
目印として挙げられるのは、1889年から1893年に『Le Petit Français illustré』に載ったChristopheの作品である。
Mercierは、この移動の理由がこれまで説明されていないと書く。

統制とベルギーの時期

Mercierは、フランスの子ども向け出版が、カトリック系の団体や戦後の共産党系の雑誌のように、思想の面から読者を導こうとする動きの中にあったと書く。
1949年の法律は、その動きの到達点と位置づけられる。
同時にこの法律には、戦後で経済の弱いフランスに流れ込むアメリカの漫画を抑える狙いがあった。
Fredric Werthamの1954年の著作『Seduction of the Innocent』の題が、当時のフランスでBDやアメリカの漫画に向けられた見方を要約していると、Mercierは述べる。
1950年代には、Casterman、Dupuis、Lombardといったベルギーの出版社が、冒険とユーモアの作品を送り出した。
批評家のBenoît Peetersはこの時期を「ベルギーの時期」と呼ぶ。
Spirou、Blake et Mortimer、Lucky Luke、タンタンなどが並び、フランスの読者にすぐ受け入れられたため、フランス語圏のBDは「フランコ・ベルジュ」の歴史として語られる。
この時期は10年に満たない間に高い水準に達した、とMercierは書く。

大人の表現になる

Mercierは、1970年代から90年代に大人向けBDが急増し、子ども向けは点数でも売り上げでも少数派になったと書く。
フランス文化省は、1974年の祭典を、BDが子どもの娯楽に押し込められがちだという認識から始まったと説明する。
Brétécher、Franquin、Gotlibといった当時の有力な作者が祭典を支えた。
同省は2024年の記事で、BDが文学の一つのジャンルとして認められていることや、2020年が「BDの年」とされたことも挙げる。
同記事は、2023年にフランスで7,500万冊のBDが売れたと述べる。数字の出どころはGfKという調査会社で、集計の範囲は記事に書かれていない。
同記事によれば、2024年1月の祭典は第51回で、前年の来場者は20万人を超えた。
2026年の回は、FRANCE 24の2025年12月1日の記事によれば、主催会社の弁護士が中止を認めた。予定は1月29日から2月1日だった。
本稿が確かめた範囲では、2026年の祭典は開かれていない。

マンガとの関係

Mercierは、Glénatが『Akira』を出したことを契機に、1990年代半ばからマンガがフランスの出版を揺さぶったと書く。
フランスはアジアのコミックでは日本に次ぐ市場になったという(記事の執筆時点)。
『artscape』の解説は、BDの特徴を次のように挙げる。
A4判のハードカバーが基本で、全ページに色が付くものが多い。
1コマに流れる時間が比較的長く、セリフやナレーションが多い。
描く手間が大きいため、1冊のページ数も巻数も少ない傾向がある。
同解説は、日本のマンガは1コマの時間経過が短く展開が速い、と一般的な傾向として対比する。
例外は多いと考えられる。
同解説は、谷口ジローがフランスで書き下ろしを出して芸術文化勲章を受けたことや、2004年にパリで宮崎駿とMoebiusの展覧会があったことも挙げる。

評価の分かれる点

販売冊数は、出どころによって年も範囲も違う。
文化省の記事は2023年を7,500万冊とする。
FRANCE 24の2023年の動画説明は、2022年を8,400万冊の記録的な年とする。
年が違い、どちらも集計の範囲が書かれていないため、増減を判断することはできない。
また、BDとマンガの特徴の対比は、事典が「一般的に」「多い」と断る傾向の話であり、個々の作品には当てはまらないことが多い。

くらさんの考察

1974年の祭典の狙いが、BDを子どもの娯楽という見方から引き離すことだった点は、日本の漫画の歩みと比べる価値があると考えられる。
日本でも漫画は長く子どもの読み物と見られた面があったとされるが、本稿では日本側の資料を開いていない。
Pilote誌とAstérixの1959年の出発、Spirou誌の1938年の創刊、「第9の芸術」という呼び名の由来は、出典を開いて確かめられなかったので書かない。

ジージへの問いかけ

・子どもの頃に翻訳で触れた外国の漫画や絵物語はあったでしょうか。
・漫画が「子どもの読み物」から大人も読むものへ変わったのは、いつ頃だと感じますか。
・大判でフルカラーの本という形は、漫画の楽しみ方を変えると思いますか。

出典

・Jean-Pierre Mercier「Deux siècles de bandes dessinées」(BnF 児童文学センター公開、La Revue des livres pour enfants 289号)https://cnlj.bnf.fr/sites/default/files/revues_document_joint/dossier_deux_siecles_bd_289.pdf
・フランス文化省「Le festival international de bande dessinée d'Angoulême, un événement à ne pas manquer」(2024年1月24日)https://www.culture.gouv.fr/Actualites/Le-festival-international-de-bande-dessinee-d-Angouleme-un-evenement-a-ne-pas-manquer
・タンタン公式サイト(Hergé の年譜)https://www.tintin.com/en/herge
・artscape「バンド・デシネ」(栗栖智美、2024年3月更新)https://artscape.jp/artword/6547/
・FRANCE 24「BD : l'édition 2026 du festival d'Angoulême est annulée」(2025年12月1日)https://www.france24.com/fr/info-en-continu/20251201-bd-l-%C3%A9dition-2026-du-festival-d-angoul%C3%AAme-est-annul%C3%A9e-selon-un-des-avocats-des-organisateurs

動画

・Bande dessinée : le Festival d'Angoulême bien sans sa bulle pour ses 50 ans(FRANCE 24)https://www.youtube.com/watch?v=ETszE98yRkI
 日本語の要約:アングレームの漫画祭が開催50年を迎えた2023年のニュース。20万人の来場が見込まれることと、フランスのBD市場が好調で2022年に8,400万冊が売れて記録の年になったことを伝える(動画の説明文による)。

関連動画

日本語の要約(動画の説明文からこのサイトがまとめたもの)
アングレームの漫画祭が開催50年を迎えた2023年のニュース。20万人の来場が見込まれることと、フランスのBD市場が好調で2022年に8,400万冊が売れて記録の年になったことを伝える(動画の説明文による)。

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