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No.131新着 アメリカのコミックス 新聞の連載漫画から、ヒーローの冊子へ

アメリカのコミックスは、19世紀末の新聞連載漫画と、1938年のスーパーマン登場で産業になったコミックブックという二つの流れで育った。アメリカ議会図書館の資料を軸に、1954年の公聴会と業界の規約までを整理する。日本の漫画との違いは、出典で確かめられた範囲に限る。

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登録日時
2026年11月1日 06:19
出典を確かめた日
2026年11月1日
分野
世界のマンガ
立場
評価の分かれる点
タグ
海外とのつながり新着歴史・時代新着数字・統計新着
作品・人物
イエロー・キッド、スーパーマン、アクション・コミックス、DCコミックス、マーベル・コミックス
資料の種類
公的機関の解説
年代
1890年代、1930年代、1950年代

本文と出典

あらまし

アメリカのコミックスには、新聞に載る連載漫画と、スーパーヒーローを中心にした薄い冊子(コミックブック)という二つの流れがある。
前者は19世紀末に新聞社が部数を競う中で育った。
後者は新聞連載の再録から始まり、1938年のスーパーマンの登場で産業になった。
1950年代には子どもへの影響が議会で問われ、業界が自主的な規約を作った。
この記事は、アメリカ議会図書館(LOC)の資料を軸にこの流れを整理する。
日本の漫画との違いは、出典で確かめられた範囲に限る。

主なできごと

・1895年 ニューヨークの新聞『ワールド』に、のちにイエロー・キッドと呼ばれる子どもが登場する漫画が載る(LOCの1995年の記事による。始まりの年には食い違いがある)
・1896年 作者のR.F. Outcaultがライバル紙『ジャーナル』に移り、二つの新聞に別々のイエロー・キッドが並ぶ
・1938年 『アクション・コミックス』第1号でスーパーマンが初登場する
・1947年から1956年 ヒーローの人気が落ち、西部劇、恋愛、ホラー、SFの冊子が伸びた時期(「原子力時代」と呼ぶ見方がある)
・1954年 上院の小委員会が4月21日、22日、6月4日に公聴会を開き、10月26日に業界の規約が公表される
・1961年 『ファンタスティック・フォー』が登場し、経営が傾いていたマーベルを支える(ITmedia、2012年の記事による)

新聞の漫画が先にあった

LOCの研究案内は、1897年のイエロー・キッドから1938年までを「白金時代」と呼ぶ。
この時期のコミックブックの原型は、新聞連載のキャラクターを集めて再録した冊子だった。
新聞漫画が広がった背景には、Joseph Pulitzerの『ワールド』とWilliam Randolph Hearstの『ジャーナル』の販売競争がある。
LOCの1995年の記事によれば、読者が漫画目当てで新聞を買うと気づいたHearstは、Outcaultを高い条件で引き抜いた。
Pulitzer側は別の画家に同じ漫画を続けさせたため、二つの新聞に別々のイエロー・キッドが載った。
最初の漫画は、紙面いっぱいに多くの人物の動きを描き込み、画面の中に文字で台詞を入れた点が、それまでの新聞にないものだったという。

ヒーローの冊子

LOCの案内は、『アクション・コミックス』第1号(1938年)のスーパーマン登場を、黄金時代の始まりとみるのが一般的だと述べる。
黄金時代には、コミックブックが産業として育ち、バットマン、ワンダーウーマン、キャプテン・アメリカなどのヒーローが生まれた。
ITmedia ビジネスオンラインに載った増田弘道の記事(2012年)は、日本でアメコミと呼ぶものの中心はこの冊子の系統だとする。
同記事によれば、その歴史はDCコミックス(1934年設立)とマーベル・コミックス(1939年設立)の二社とともにある。
同記事は米国のコミックスを、新聞連載、スーパーヒーローを中心にしたメインストリーム、作者個人や小さな出版社が出すオルタナティブの三つに分ける。
これは同記事が『アメリカン・コミックス大全』を参照した分類であり、本稿は原書を確かめていない。

1954年の公聴会と規約

LOCの法律図書館のブログ(2022年)によれば、1940年代後半から50年代に冊子の発行数が急増し、1954年には年に約12億冊が売られた。
値段は1冊10セントで、買い手の多くは子どもだった。
犯罪とホラーの冊子は全体の約4分の1にあたり、月に2千万冊に及んだ。
この状況を受け、上院は冊子が子どもの非行を招いているかを調べる公聴会を開いた。
コミックス・マガジン協会の規約が公表されたのは、同じ1954年の10月26日である。
LOCは、この公聴会の結果が業界に数十年の影響を与えたとまとめる。

日本の漫画との違いについて

確かめられたのは次の点にとどまる。
増田の記事は前編で、日本では出版物の3冊に1冊が漫画だと述べ、後編でアメリカのコミックスを三つに分けている。
後編の見出しはアメリカの市場が日本の約10分の1だと掲げるが、数字の年と集計の条件を確かめていないので、ここには書かない。
読む向き、判型、連載の仕組みの違いも、公的な資料で確かめられなかったため書かない。

評価の分かれる点

イエロー・キッドの始まりの年は、LOCの資料の中でも一致しない。
研究案内は1897年を新聞漫画の始まりとし、1995年の記事は1895年5月5日の『ワールド』を挙げる。
新聞を扱う別の案内は、1894年に別の媒体に載り、1895年に『ワールド』へ移ったと書く。
どの時点を始まりとするかで年が変わるため、本稿は一つの年に決めない。
時代の区切り方も一つではない。
LOCは、1947年から1956年を黄金時代と切り離して「原子力時代」と呼ぶ人が、一部の研究者や収集家にいると説明する。

くらさんの考察

LOCの資料を並べると、アメリカでは新聞の漫画が先にあり、再録の冊子があとに続き、規制は冊子が子どもに行き渡ってから来た、という順序が見える。
新聞や冊子の販売競争が表現の型を作ったという点は、日本の雑誌の連載競争と比べる価値があると考えられる。
ただし、日本側の資料は本稿で開いていない。
1954年の規約が作品の表現にどう響いたかも、本稿の資料だけでは測れない。

ジージへの問いかけ

・子どもの頃、貸本や少年雑誌が「悪い本」と言われた記憶はあるでしょうか。
・最初に触れたアメリカのヒーローや新聞漫画は何だったでしょうか。
・新聞の連載漫画と雑誌の漫画では、読み方に違いがあったと思いますか。

出典

・Library of Congress, Comics and Comic Books: A Research Guide(白金時代)https://guides.loc.gov/comic-books/comic-book-history/platinum-age
・Library of Congress, 同(黄金時代)https://guides.loc.gov/comic-books/comic-book-history/golden-age
・Library of Congress Information Bulletin, Featuring the Funnies(1995年)https://www.loc.gov/loc/lcib/9513/funnies.html
・Library of Congress, Comic Strips: Topics in Chronicling America https://guides.loc.gov/chronicling-america-comic-strips/introduction
・Library of Congress, The Senate Comic Book Hearings of 1954(2022年)https://blogs.loc.gov/law/2022/10/the-senate-comic-book-hearings-of-1954/
・ITmedia ビジネスオンライン 増田弘道「アメコミ市場は日本の10分の1、世界のマンガ市場を見る(後編)」(2012年)https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1209/12/news013.html

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